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Contents Ⅱ 
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 Ⅴ小説『コントラバスソナタno.1』
コントラバスソナタno.1 スタート
  ヒエンラ:from Hienra@icemail.co.jp
  アイラ: to Ira@icemail.co.jp
    201X-05-12 21:45:00 

 



コントラバスソナタno.1 プロローグ1
    目が覚めると、ここがどこなのか、自分が誰なのかわからなくなる。
 清美は真っ暗な部屋の片隅で布団から起き上がると、目覚まし時計を探した。暗闇のなかでうっすらと光る時計の文字盤は七時を示している。清美は慌ててカーテンを開けた。窓越しに通りを眺めると、クルマのヘッドライトが幾つも見えた。よかった、朝ではないのだ。


 コントラバスソナタno.1 プロローグ2
   河村の言うことを真に受けたわけではないが、ある一言だけが、耳から離れなかった。
「よく、ものを見なさい」
それは、本に限らず、人や社会、つまりは、世界のすべてだということらしい。

 続きは、クリック。


コントラバスソナタno.1 Ⅰ
 ぼんやりと薄暗い空間で、清美は一人の少女と一緒にいた。
 少女は制服姿で、清美の足元に四つん這いになって項垂れている。長い黒髪が床まで垂れている。その顔は見えないが、清美は少女のことをよく知っているような気がしていた。
「あなたが今日から私の奴隷になった娘ね。さっそく、あなたの役目を決めないとね」
 清美は鷹揚に構えると、四つん這いになった少女の背中にゆっくりと片足を乗せた。少女が、ああ、と小さく洩らす。

 続きは、先頭をクリック。
コントラバスソナタno.1 Ⅱ
 愛を見送ると、改めて、脱衣する。
 「ァ・・・・・・」
清美は、見たくないものを見てしまったような気がした。少女の体には、至る所に、無数の痣が出来ている。沙織たちに、さんざん蹴られたり、殴られたりした結果だ。
 「あはははは!あら、痛かった?!」
「知ってる?四条さん、痛みと快感は、同じ神経なんだよ、A10神経って言うんだけどさ、訓練しだいで、気持ちよく思えるって話しだよ!ほら!ほら!」
「あはは、気持よさそう!」

 続きは、先頭をクリック。

コントラバスソナタno.1 Ⅲ
 味噌汁が、塩辛い。
 朝食のテーブルで、清美は隣に座る愛を気にしていた。愛の様子は、いつもと何も変わらない素振りに見える。ときどき目が合うと、清美姉さんなあに、というふうに無言で可愛らしく首を傾ける。無邪気な小学五年生の表情に陰りはなかった。愛の外見はいつもと変わらない。しかし、その脇腹にはしっかりと非日常的な痕が今も潜んでいるはずなのだ。

 続きはクリック。

コントラバスソナタno.1 Ⅳ
  5限目は、英語の授業である。好きでも嫌いでもないが、清美が、得点が稼げる授業である。だから、一応好きな科目なのであろう・・・・・少なくとも、そのように思うことにしている。そうしないと、がんばっても点数が取れない子に、悪い・・・・・そんな風に思った。
 中2になってからの、度重なるいじめは、清美の性格をかなり、複雑にしていた。あるいは、元々の性格が、引き出されたのか、それは彼女自身にも、彼女を取り巻く、大人たちにもわからない。いじめをやっているクラスメートは、もっと理解していないだろう。ただし、鋭敏な沙織は何か、察知していたかもしれない。

 続きはクリック。

コントラバスソナタno.1 Ⅴ
清美は記憶を掘り起こしていた。
 まだ小学生だったあの日、もらったばかりの大切なバッグがなくなったあの日、妹の愛は布団に隠れてただ震えているだけだった。清美の問いかけに、ひたすら沈黙をもって応えていた。なだめても、脅しても、布団のなかから聞こえるのは幽かな呼吸音だけだった。ため息の回数が積み重なり、不意に精神のある一点を結んでいた糸のような感覚が、ぶちん、と切れた。
 本作品は、リレー小説です。

続きはクリック。
コントラバスソナタno.1 Ⅵ
 パソコンに向かったが、最後、もはや姉のことなど目に入らない。その愛の様子に、カッとなると、ドアを乱暴に閉めた。しかし、すぐさま、あることに気づいてほくそ笑んだ。      
 ふと、壁越しに愛の様子を想像してみた。これから、何が起こるかは、容易に予想がつく。
 「清美姉さん、パスワード!!」
 変声期前の、高い声が響く。

 つづきはクリック。
コントラバスソナタno.1 Ⅵ
 夕食のテーブルにつくと、愛がトコトコと自室からやってきて、何食わぬ顔で席についた。その表情には陰りがない。清美が呆れまじりに見つめていると、座ったばかりなのに椅子から立ち上がり、冷蔵庫を開けてから、清美姉さん、オレンジとグレープどっちがいい? と明るい声で訊いてくる。清美がわざと、ウーロン、と答えてみて反応をうかがっていると、はいよー、と剽軽な返事とともにウーロン茶のペットボトルを抱えて戻ってきた。そして、いつもどおりの雰囲気で四条家の夕食が始まるのだった。
 続きはクリック。

コントラバスソナタno.1 Ⅶ
 ちらちらと意味ありげな視線を送ってくる沙織。そして、彼女に頼らず、独自にいじめを始めたクラス
メートたち。それらの点に、違いはあったが、これまでとなんら代わり映えのない木曜日だった。
 だが、伊吹沙織にとっては、普段と微妙に違う木曜日だった。

  続きはクリック。
コントラバスソナタno.1 Ⅷ

  ホールムール終了のチャイムを清美は一人校舎裏で聞いていた。
 授業終了と同時に教室から逃げ出してしまったのだが、そのまま学校を飛び出してしまう勇気まではなかった。授業ではないとはいえホームルームも学業の一部であることにかわりない。その場にいないのはれっきとしたサボリである。学校というシステムに慣れきった中学二年生、それも清美のように真面目で従順な者にとって、自分がとっている行動は学校に対する反逆なのだ。どんな処罰をされても仕方がない。大げさだが、清美は途轍もない罪悪感を持っていた。

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コントラバスソナタno.1 Ⅸ
 ヒエンラ: from Hienra@icemail.co.jp
 アイラ: to Ira@icemail.co.jp
  201X-06-02 19:24:00
 
友達できて、よかったじゃん。でも、あたしのいじめている子には、一生、友達なんかできそうにないよ。何せ、あたしがうちのクラスの絶対的な権力を握っているもんね。

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コントラバスソナタno.1 Ⅹ

「なに、このメール」
 清美は首を傾げた。文字通り、首を右側に傾けている。肩の筋肉が微妙に収縮し幽かな抵抗を示す。肩が少し凝っているかな、と清美は感じた。かなり前になるが、木曜の夜八時からのバラエティ番組で健康特集を組んでいた。

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    コントラバスソナタno.1 ⅩⅠ
 一体、どういうことなのだろう。
―――あれだけ、ひどいことしておいて、よくも!
 
 そうは思うが、同時に、小学校時代の記憶が、突如蘇ることもある。彼女の両親が離婚するって、突然、泣きついてきたことがある。ふつうの小学生にとって、晩ご飯の後の時刻に、外をぶらつくなど考えられないことだ。

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    コントラバスソナタno.1 ⅩⅡ
「目障りよ。早く消えなさい」
 伊吹沙織の冷たい声が勉強室に響く。夜の九時半を回った図書館勉強室には、すでに清美と沙織の二人しかいない。空調の幽かなうなりが聞こえる。沙織の本をめくる音が異様に大きく感じられる。
 清美は戸惑いながら訊ねた。

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コントラバスソナタno.1 ⅩⅢ

 清美が乗った車が、エンジンを激しく回転させた時、沙織は、大きな荷物を抱えて、階段を降りはじめていた。携帯はオフにして、鞄に放り込んだ、お迎えが来るというのは嘘である。
 閉館間近の図書館は今更ながらに、中世の城じみている。ちなみに、この建物はバブル時代の産物である。竹下ナントカいう首相がやった、故郷再生ナントカいう名目で、地方に、大金がばらまかれたらしい。

コントラバスソナタno.1 14
「おやすみなさいアイラ。いい夢を見てね」
 メール画面にささやきながら送信ボタンを押す。たった今送ったメールには、ヒエンラがあるクラスメイトを夜の図書館に呼び出し、意味もなく大量の本を探し出させるという内容のいじめが書いてある。メールの最後には、あたしみたいに図書館好きのいじめっ子っておかしいかな、という一文を添えてある。送信してから、今回のメールはちょっと工夫が足りなかったかな、と反省した。

 続きはクリック。 
コントラバスソナタno.1 15
「おはよう、びわ」
「おーは!」
  みんな、互いに挨拶をする。当然、清美は無視されるか、嫌みを言われるかだと思った。
  しかし ―――――。
「ねえ、あなた転校生?、ねえ、ねえ、みんな知らない顔よね」
「本当だ、びわ、知らないカオだよね」
 

 続きはクリック。
コントラバスソナタno.1 16
「伊吹はどうした。欠席か」
 教卓に常備された座席表を片手に、担任が独り言のように問いかける。誰も、応えない。しばらくの沈黙のあと、担任は空席と座席表を交互に確認し、欠席かなあ、と呟きながら出席簿にペンを走らせた。

 続きはクリック。

コントラバスソナタno.1 17
「あ、あなたが、あ、アイラさんだなんて、伊吹さん―――――――?」
  それは、ほとんど独語に近い。
「な、何でわかった、わかったんですか?」
「私がバカだと思っているの?携帯で、アイラっていう文字が見えた。消し忘れたな。」
「何のことですか?」
「ああ、うっとおしいから、敬語使うな」
  絶句するしかない。これまでの数ヶ月はいったい何だったんだろう。すべてが、無意味で、ただ騙されていた。そのことを思うと、今までに感じたことのない怒りが、ふつふつと浮かび上がってきた ――――――――。
 続きはクリック。
コントラバスソナタno.1 18

 おしまいの鐘は聞こえてこなかった。
 ごうごうと風の音だけが、耳許を過ぎ去っていく。
 人生の最期が、まさか今日来るとは思わなかった。

   続きはクリック
コントラバスソナタno.1 19
 何処をどう走ったのだろう。気が付くと、沙織と清美は、赤丘公園にいた。かつて、江戸時代まで、この公園の中心に、赤丘城がそびえたっていた。今は丘に、城跡がありがちな記念碑が残っているだけだ。ここから見ると、町全体が見渡される。
   続きはクリック

コントラバスソナタno.1 20
「ごめんなさい」
「許しません」
 土曜日のお昼近く、清美は母親と一緒に中学校の昇降口にいた。休みの日なので、周りに生徒の姿はない。囁き声さえ反響しそうな静けさだ。聞えてくる音といえば、グラウンドから届く野球部のかけ声と、芸術棟で奏でられる妙に間延びした『レット・イット・ビー』ぐらいだ。
  
 続きはクリック
コントラバスソナタno.1 21
「だから、妙子、お前は誤解されるんだ! 暴力たけが愛情の表現だと思っているのか?」
「洋一郎さんに、一体何がわかるの! あの子に始終接しているのは、あなたじゃないでしょう?」
 夫婦は、互いに対峙している。妻の目は、血走り、夫は喉に筋肉の隆起を作って、互いに口角泡を飛ばし合っている。

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コントラバスソナタno.1 22
「ねえっ舞姉さんが帰ってくるってほんとっ」
 リビングに飛び込むなり、清美は両親に向かって大きな声をあげた。興奮が隠せない。両親がテーブルを挟み、向かい会って座っている。すぐさまテーブルの上に広げられた薄青い封筒に目がとまった。
「ああ、それ、エアメールねっ」
「さっき届いたのよ。中身はお父さんが今、解読中」
「解読。今度は何語で届いたの」
 
   続きはクリック
コントラバスソナタno.1 23
「一週間って、でも、清美姉、今日でいなくなっちゃうんだよ」
「いなくなる?」
舞は、少しばかり、怪訝な色を顔に乗せる。
「そう、うちの子じゃなくなっちゃうの」
「愛、バカなこと言わないの!!」
「だって、そうじゃない、清美姉、入れ代わっちゃうんだから ――――――――」
  舞が訝しげに、話しに参入する。
「ちょっと、待って、話しが見えないんだけど ――――――」
「舞だって、やったじゃない?子供会のあの企画よ」
母親の言葉に、過去の記憶を検索してみる。
「あ、そうか、あのバカな企画、まだやってるんだ ――――――――」
舞は、思いだしたように言った。

   続きはクリック

コントラバスソナタno.1 24
「さあ、ついた。ここのステーキが――」
 清美を乗せた舞姉の車が、大通りから一歩入った裏道にある駐車場に滑り込んだ。淡いライトに照らされた駐車場には、すでに数台の車が停まっている。
「おいしいってことね」
「――いや、安い」
 清美は苦笑する。運転する舞姉の横顔を見ると、同じように苦笑いしていた。
「あ、でも勘違いしないでね。味も抜群だから

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コントラバスソナタno.1 25
「沙織、いや、沙織さんの写真、持ってる?」
「え? ―――――――」
  突如として、突っ込まれた質問に、清美は即座に対応できなかった。頬張ったステーキが、かみ砕かれるのを待っている。
「どうして、そんなに気になるの? ―――――」
清美は、そこまで言っておかしなことに気づいた

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コントラバスソナタno.1 26
「清美、私はお父さんと話があるからちょっと部屋に引きこもっててね」
 家に帰るなり舞姉は清美を部屋に追いやってしまった。普段は開け放しの居間のドアが、バタンと閉められる。清美は露骨な隔絶の意味を想像すると、居たたまれない気分になってしまった。
 自室に戻ると、妹の愛が清美のパソコンの前に座っていた。パスワードはもうかけていない。愛は気ままにインターネットを楽しんでいるようだった。
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コントラバスソナタno.1 27
  眠れないままに、日曜日はやってきた。小鳥が呑気にぴーちくぱーちく唄うなかで、清美の出発式は執り行われた。
「清美、用意はできたの?」
「はーい」
  玄関には、こともあろうに、家族がみんな集まっていたのである。大げさなことだとは思ったが、口に出して、言う気にもならなかった。
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コントラバスソナタno.1 28

「意外と普通の下着なのね」
 清美は沙織のベッド下にあった収納ケースを開けて呟いた。ベッドとセットだと思われる木製のそれには、沙織の下着が几帳面に詰められている。校則に定めれた『下着は学生らしい清潔な白色のみを着用』というやつだ。もちろん、中学二年になる今に至っても、学校で下着のチェックなどされたことはない。それを承知の上なのか、クラスメートのなかには、大人びた下着を体育の着替えのときに無言でアピールする者もいる。
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コントラバスソナタno.1 29
「はーい」
  清美は、部屋を出ると、妙子の声のする方向へと急いだ。階段を下りて、居間の前をとおる。父親が慌てて、玄関に向かおうとしていた。きっと、一人で出て行った沙織を追いかけているのであろう。清美を息吹家に送った後で、沙織を連れて帰るという段取りだったはずだからである。それにも係わらず、沙織は一人で出て行ってしまった。

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コントラバスソナタno.1 30
 リビングへ入ると、沙織の母親はソファーに腰掛け、リモコンでテレビのスイッチを入れた。巨大なテレビ画面には、オーケストラが映し出され、どこかで聞いたことがあるようなないような、クラシックを演奏していた。日曜朝に放映されている音楽番組だとすぐにわかったが、自宅のテレビと比べると、あまりにも映像が綺麗なことに驚いた。アップになったクラリネット奏者の額に浮かぶ汗がはっきり見えるほど精緻だ。
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コントラバスソナタno.1 31
  胸をどきまぎとさせる赳夫の目の前で、平然と、舞と沙織の邂逅は行われた。五人は、四条家の居間に、集まっている。そのように言いふらすには、息吹家のそれと比較して、あまりに気恥ずかしい。そんな思いに囚われながらも、赳夫は一家の主を演じている。成美が予め焼いておいたケーキが振る舞われた。

  ちなみに妻である成美にも、当然話してあるが、夫とは裏腹に、始終冷静だった。一体、どんな神経をしているのだろう。女とは、つくづく、わけのわからない生き物だ。赳夫は、しかし、密かに、毒づく余裕もなかった。

コントラバスソナタno.1 32  
 沙織と舞姉は今頃どうしているだろうか。
 金串に刺さった牛肉を頬張りながら、清美は四条家を気にかけていた。せっかく舞姉が日本に帰って来たというのに、自分は子供会の意味不明なイベントで伊吹家にいる。そのせいで、舞姉と語らうこともできない。さらには離ればなれになっていた姉妹の感動の対面を見ることもできない。なんというバッドタイミングだろう。運命を司るカミサマというやつは、変なところで自己主張をするから困る。ただ、子供会のイベントがなければ、そもそも沙織と舞姉が出会うこともなかった。考えようによっては、自分が邪魔者だから弾き出されたようでもある。釈然としない。と思いつつも、清美は目の前でジュージューと焼けていく高級食材から目が離せなかった。

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コントラバスソナタno.1 33
「沙織お姉ちゃん、お風呂入らない? もうできてるよ」
  一同は、愛のすっとんきょうな提案に驚いた。時計を見れば、ちょうど午後3時を少し過ぎたところだった。しかし、この愛の発言は、停滞した時間を打破する役割を示した。いわば、時間というものに意識があるなら、愛の声は、目覚まし時計となったのである。
「じゃあ、一緒に入ろうよ」
「・・・・・・・・・!?」

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コントラバスソナタno.1 34
 たぶん夢だ。
 舞姉が沙織と一緒に笑いあっている。
 しかも、ここは学校の教室だ。黒板には大きく「金八先生」と書かれている。意味がわからない。薄ピンク色のカーテンが窓辺でゆらゆら揺れている。教室にはそぐわない、艶めかしい色だ。
 舞姉がこっちを見た。

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コントラバスソナタno.1 35
  入浴の後は、妙子が、髪を解かしてくれた。もちろん、ドライヤーで、念入りに乾かしてからのことだが ――――。
「清美さんの髪は、すこりばかり癖があるのね ―――」
「ええ、いつも困ってるんです ――」
「でも、その割に櫛の通りはいいわね」
「・・・・・・・・・・・・・・」
 まるで美容師のように、手慣れた手つきで髪を整えていく。沙織の頭で慣れているのだろうか。

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ただいま、参加人数は、管理人を含めて2名です。
コントラバスソナタno.1 36
朝は毎日やってくる。
 カーテンの隙間から覗くぼんやりと明るい窓を恨めしげに見つめながら、清美はベッドの上に身体を起こした。見慣れない部屋の景色に脳が一瞬混乱する。清美は大きく息を吸い、ゆっくり吐いた。
 今日は月曜日、ここは沙織の部屋、そして自分は四条清美。否定しようのない事実が清美の心に薄暗い陰を作る。
 朝なんか、こなきゃいいのに――。
 あらためて時計を見る。が、ここは自分の部屋ではないので、身体が覚えている場所に時計はなかった。些細なことに苛立ちながら枕元を探すと、緑色に発光するデジタル時計の数字を見つけた。まだ起きるには少し早い。

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コントラバスソナタno.1 37
  一方、伊吹沙織が目を覚ましたのは、午前6時30分だった。
「まだ、こんな時間?」
  沙織は、アナログ時計を見て、驚いた。見慣れているデジタル時計よりも、朝が再び来たという実感があるのは不思議だった。

――――宣戦布告?
  いきなり、脳裏に走った言葉に、沙織は微笑んだ。改めて、自分が好戦的な人間であることを思い知らされた。まるで一作の作品を完成させた朝のように思える。
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コントラバスソナタno.1 38
朝は毎日やってくる。
 カーテンの隙間から覗くぼんやりと明るい窓を恨めしげに見つめながら、清美はベッドの上に身体を起こした。見慣れない部屋の景色に脳が一瞬混乱する。清美は大きく息を吸い、ゆっくり吐いた。
 今日は月曜日、ここは沙織の部屋、そして自分は四条清美。否定しようのない事実が清美の心に薄暗い陰を作る。
 朝なんか、こなきゃいいのに――。
 あらためて時計を見る。が、ここは自分の部屋ではないので、身体が覚えている場所に時計はなかった。

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コントラバスソナタno.1 39
 沙織が、教室に入ると、クラス全体の視線が集まる。これは、かつて清美が毎日、経験してきたことだが、これほど強烈とは思わなかった。視線とは熱を伴うものだったのである。顔が熱くなってきた。
  しかし、高いプライドの持ち主である沙織のこと、この程度で、音を上げるようなタマではない。それは遠藤びわもわかっていた。そして、沙織の背後には、まだ潜在的な味方が、この教室にいることも。だから、ここは、慎重な態度を要求されるのだ。

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コントラバスソナタno.1 40
空気がおかしい。
 意を決して入った教室は、ほんの数十分前とはまったく違う雰囲気になっていた。クラスメイトの視線はいつも以上に無表情で冷たく、清美が予想していた哀れみや嘲りの色は見あたらない。どちらかというと、軽蔑の眼差しに近い。
 真っ先に沙織の姿を探した。

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コントラバスソナタno.1 41
遠藤びわは、この世の春を謳歌している。まさに、教室の女王に君臨しているといっていい。
気づかれないように、沙織はびわを睨みつける。
しかし、何かを思いついたのか、意味ありげな笑いを見せた。そして、形の良い唇を弛ませる。
「ねえ、遠藤さんも、小学生のころ、こういう目にあったんだってね、可哀想ね」
  沙織は、クラスの空気を読みながら、言葉を発する。タイミングを計っていたのだ。

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コントラバスソナタno.1 42
「どうぞ。続けて結構」
 黒板に寄りかかるような姿で見守っていた大石先生が、清美の投げかけた視線に応えるように呟いた。清美は、教室における絶対的権力者であるはずの大石先生になんとか助けてもらいたいと願っていた。同時に、すべてを見通すカミサマとして、この事態を収拾する奇跡を起こすのではないかと期待していた。

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コントラバスソナタno.1 43
「あはははははははっ!」
  大石先生がいなくなると、とたんに、沙織の哄笑が教室中に響き渡った。それは何処か芝居じみていたが、それに気づいたのは ―――――。
「何笑ってるのよ! あんたのせいよ! あんたがいじめをはじめたんじゃない!?」
  真っ先に喰ってかかったのは、さきほどの女子だ。名前を荒木という。これまで、沙織の顔を表面切って見ることすらできなかった小心者である。

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コントラバスソナタno.1 44
 針のむしろに座る思い、その言葉を今使わずにいつ使うのだろう。清美は心のなかで呟いた。
 教室の空気は尋常ではない圧迫感で四方から迫る。錯覚ではない証拠に、どちらを向いても、クラスメイトの突き刺さるような視線が飛び込んでくる。今までのような憐れみまじりの目ではなく、はっきりと怒りの色を湛えている目だ。
 それでも、清美は勇気を出して、もう一度声を出した。

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コントラバスソナタno.1 45
――――――生徒指導室。
 学校というところに、一度でも、係わったことがある人間なら、誰でも戦慄を以て憶えているにちがいない。そこは、教師がその権力を欲しいままにする場所であり、果てしない欲望を放出する場所である。
 そして、いうまでもなく、生徒たちは、その権力の刃が向かう先である。
今、生徒たちは、荒木を筆頭とする女子5名、そして、男子が2人である。その2人は、それぞれ沙織に暴力を奮った、正力、そして、同じく清美を殴った長谷川のことだ。

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コントラバスソナタno.1 46
 清美は三度目のため息をついた。
 沙織の方を見るたびに必ず目が合ってしまう。すると沙織は微かに口許に笑みを浮かべ、少しだけ目を細める。それは清美が今までに何度も見てきた侮蔑や嘲笑の類ではなく、あからさまに好意を感じさせる微笑だった。

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コントラバスソナタno.1 47
 遠藤びわと清美は、生徒指導室を後にした。
 まさに、そのとき、チャイムが鳴った。その音は、本来ならば、喜びの通知のはずだった。
 それは、四限の終わりを告げるチャイム。すなわち、昼食の時間を報せる福音なのである。育ち盛りの少女たちのこと、昼食前から、すでに空腹を我慢できなくなっているはずだ。そんな状況下において、耳を轟かすチャイムは、まさに、神からの救いに聞こえたかもしれない。

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 コントラバスソナタno.1 48
いつまでたっても、エンドロールは流れなかった。
 場面転換も、時間の跳躍もない。
 清美は沙織を抱きしめ、沙織は清美に抱きしめられている。そんな映画じみた一コマは空間的には静止しているが、時間軸に沿っては忠実に、だらだらと、ぷかぷかと流れ続けている。つまり、次のシーンに移るには、自分の意志によって何か変化を起こさねばならないのだ。

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コントラバスソナタno.1 49
 大石久子は、首をかしげていた。家畜たちを調教しているわけだが、同時にしていることもある。幸いなことに、そのていどのことならば、難なくこなせるほどの知性はもちあわせていた。神さまにでも、感謝するほかはない。
「この『それ』は、『機能的な美』のことを指しているのよ、わかる?」
 彼女の家畜こと、生徒たちは、エサを与えられた牛のように、一斉に、大石の言葉に食らいつく。

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コントラバスソナタno.1 50
 平和だった。
 放課後を告げるチャイムが鳴り響き、生徒たちは各々の目的のために動き出す。スポーツバッグをこれ見よがしに抱え部活へ向かう者、わざとらしく大きなあくびで開放感をアピールする者、席に座ったまま意味ありげに鞄のなかから何かを探し出そうとしている者、帰るのを惜しんで談笑しているグループ、しかし、誰一人として清美のところへやってはこない。
 だから、平和だった。

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コントラバスソナタno.1 51
 国語科準備室。
 その部屋は、いわば、大石久子の城だった。もちろん、彼女の個室ではないし、他の教師たちも使うわけだが、彼らは、久子のただ成らない雰囲気に、ごく控え目に付き合っていた。
「これは、あくまで噂だがな、大石先生って、あの大石さんの係累らしいよ」
「ほんとうですか、それは?!」
 ある女性国語科教師が、先輩の男性教師の言葉にそう応えたものだ。
「あの大石さん」と呼ぶには、それなりの理由がある。そう、地方都市では、いまだに古来からの有力者とやらが生息しているのだ。大地主、県会議員、地方暴力団が為す悪のトライアングルは、この地方を悠然と支配しているらしい。

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 コントラバスソナタno.1 52
 淳之介の存在は意外と心強かった。
 人なつっこい淳之介の性格が幸いした。遠藤びわはこれといった行動に移らない。小学生のころから人間嫌いの向きがあったびわだ。他人にちょっかいを出すのは好きでも、相手から積極的にアプローチされるのは嫌う。清美はそれをよく知っていた。びわは、しきりに話しかける淳之介にうんざりした様子で、公園の地べたに一人座り込んでいる。

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コントラバスソナタno.1 53

 清美が、ふと公園をふり返ると巨大な塔が目に入った。それは、この辺りで一番の高木である。住民からは通称「公園の一本杉」と呼ばれている。
 アリサは、所在なさげな様子で、それに、よりかかっている。陽は既に、落ちようとしている。ちょうど逆光になっているために、清美の立ち位置からは、影絵のようにしか見えない。しかし、携帯を操作していることはわかった。

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コントラバスソナタno.1 54
清美は反省していた。
 水飲み場で濡らしたハンカチを、公園のベンチにぐったりと座り込む淳之介の額にのせる。介抱としてはいささか安直だ。それは自覚している。それでも、とにかく誠意を尽したい。
 淳之介がこうなってしまったのは自分のせいだ。他人に対しては、斟酌だの忖度だのといった行為を、ことあるごとに内心で要求していたくせに、自分に対してはどうだ。このありさまだ。他人の心情を推しはかる能力が足りていないのは、自分自身ではないか。


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コントラバスソナタno.1 55
 清美はその男女の声に聞き覚えがあった。そうだ、沙織の両親の声だ。妙子と雅臣のそれである。
「それで、久子お嬢さんは、先生の後継になってくださるのかしら?」
「あのお嬢さんは、教師ごときで終わる人じゃないさ。こう言っちゃなんだけど徹さんよりも、よほど、いやずっと、国会議員に相応しい。いや日本はじめての女性宰相っていうのも夢じゃない」

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コントラバスソナタno.1 56
「でも、私は、その、沙織さんみたいにしっかりしていないから、淳之介君のお姉さんにはふさわしくないよ」
 自分でも棒読みだなと思った。過剰な信頼を寄せてくる淳之介に、そろそろ歯止めをかけなければならない。わかってはいるが、しかし、上手な言葉が、言い回しが、見つからなかった。
「そんなことないですよっ」
 箸を力一杯握りしめた淳之介が笑顔で即答する。清美は顔がカアっと熱くなるのを感じた。演技じみた台詞を吐いたのに、淳之介は本心から真っ直ぐに向かってくる。何か、無理矢理演劇の舞台に立たされているような、さらし者になっているような、恥ずかしい気分だ。

 
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コントラバスソナタno.1 57

 確かに、何か得体の知れない力が働いている。
 清美は、ひやっとするタイルを足の裏に感じながら、思った。硬くて黄色いザラザラが未来の自分を予言しているのではないか。それが具体的に何を意味するのかまで、わからないが、少なくとも良い予感ではない。そのような感覚は振り払ってしまえとばかりに、目を瞑ってみるが、不快な感覚は拭いようがない。
 その感覚を端的にある単語で呼び習わすことが可能だと思った。
   

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2、錦鯉太郎さん ゆとしょ! ゆとりある俺の小説ブログ



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contens | 22:42:53 | トラックバック(0) | コメント(0)
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